DMデザインができるまで
先日、いつもお世話になっている名古屋のアートギャラリー・ヴァルールさまからDMデザインのご依頼をいただきました。
通常制作過程やお蔵入りになった案を公開することはないのですが、クライアントさまから快くOKをいただきましたので、どんな感じで組み立ているのかをこちらでご紹介してみようと思います。
今回のご依頼内容はこんな感じです。
- 8名の作家さんが参加するグループ展のDMを作りたい
- ドローイングのみに絞った展示をする
- 展覧会名も含めて提案してほしい
- サイズは通常のポストカード大か、正方形がいいかも?
実は今年1月に開催されたグループ展のDMも担当させていただいていたのですが、その際に制作したのがこちらです。
人数が多いことや、作風もバラバラだったことから、たくさんの作家さんの中から「スポットライトを当てる」という意味で展覧会名をご提案しました。
デザイン的には、上記のこともあり何か惹きつけるビジュアルがないと展覧会のイメージ付けが難しそう、、ということで簡単な線画を描くことにしました。モチーフはギャラリーの入り口です。
2023年の最初の展示、ということで入り口にあるスポットライトを描きました。グラデーションはバラエティ豊かな作家さんの作品が楽しめますよ、というメッセージです。
しかしながら、そこにちょっと自分のエゴ(というかきれいに見せようという下心)が入ったかな。。と、うだうだ思っていたのですが、某美術館に置かせていただくため持ち込んだ際、職員の方がふと「あら、きれい」と呟いてくださったことで、浄化することができました。本当にありがとうございます。。
と、前回のデザインについて長々と書いてしまいましたが、今回はドローイングに絞った展覧会です。あまり強すぎるビジュアルだと邪魔してしまうかなと考えました。
※ドローイングとは、解釈は様々ですが、、基本的には紙などの支持体に、短い時間で描かれた、思考の拡散の一片とでも言いましょうか、、といったものでございます
まず、展覧会名は第三者的な目線からつけたいなと思い、あれこれ悩んだ結果「ドローイングからの伝言」というものにしました。
作り込まれた、、というよりは、伝言。
そしてビジュアルは、前述したようにあまり強すぎない方が良いと考えました。かといって、ぱっと見で手に取っていただかないといけないので、それなりのパンチも必要。
それぞれアプローチの違いはありますが、割とポップで親しみやすい作風の作家さんが多かったので、あまり堅くならないようにもしたい。
そんな感じで、最初に思いついた案がこちら。
ドローイングは直訳すると「線を引く」という意味もあり、作家さんのお名前を曲線で表してはどうだろう?という発想です。
もしかしたら鉛筆や木炭の線だけで表現される作家さんもいらっしゃるかもしれないので、スミ1色の方が邪魔しないかも?という考えもありました。
とはいえ、アイキャッチのために色も必要かな?と次に作ったのがこちら。
どこか手描き線を入れたいなというイメージがずっとあって、その人感のある線(ドローイング)が、内と外を繋げる=伝言
というイメージを思いつきました。
これを派生させて、もっと内と外の感じを強調したらどうだろう?と考えたのがこちら。
線(ドローイング)と木漏れ日が、内(マス目エリア)と外(グラデーションエリア、これは窓をイメージしています)を繋ぐイメージ。
ここまで掘り進めて、ちょっと待てと。
ここでもう一度参加作家さんの作品をチェックすることにしました。
「今回って明朝体じゃないんじゃない?」という心の声が聞こえました。
言いたいこととしてはハマっている気がするけれど、ちょっとお堅い印象を与えかねないかも。。
それから作ったのがこちら。
もっと軽やかに、遊び心のあるデザインにしてみました。
各々の個性を包括するイメージで、ハンカチのような、バンダナのような印象を与える囲みも入れました。
当初にあった、スミ1色で言い切れたらいいなという発想にも戻りました。
この4案をご提案して、クライアントさまにOKをいただいたのが、最後の案でした。
印刷はHAGURUMAさんにお願いして、肌感のあるコットン紙に印刷することにしました。
まだ客観的に見れてはいませんが、DMを見て1人でも展示に興味をもってくださる方がいればいいなと思います。
最後に、上記ラフをひね出すまでの超汚いデスクトップを晒します。(引きで)
愛知県内の美術館や画材屋さんなどに置かせていただく予定ですので、見かけた際はぜひお手に取っていただけるとうれしいです。